火曜日 パート1

午前4時 少し前、夢うつつの中、話し声が聞こえて来ました。

小さな小さな声で。

声が小さ過ぎて話の内容は、判りませんでした。

どうも、枕の中から聞こえて来るような感じです。

あれっ! それとも私の頭もとにあるラジカセから聞こえて来るのかな、とラジカセのスイッチに手を伸ばしてみると、スイッチはOFFのまま。

あーそうか。

隣か、階下のテレビの音がコンクリートの床を通して聞こえて来るのだろうな、と想像をし私は再度、眠りにつきました。

面白いです。 たまにこういうことがあります。

もし、幽霊の話し声だったら面白いのでしょうが、恐いけれど。

作家の人がよく言っています、「歴史物を書くのは面白い」と。

登場人物を年譜に従って自分の思うように動かすことが出来るからだそうです。

私が今、読んでいるのは明治、大正、昭和を生きた歌人白蓮(故人)を主人公にした小説です。

年譜に従って忠実に書かなくてはいけないと同時に、登場人物の思いは自由に想像をして書けます。

自由に書けるのと同時に、著者(林真理子)自身の根性も文章に反映されるので恐い部分もあるのではないでしょうか。

著者の創作部分で、これは絶対にありえない、と思える部分が時々あり、面白いなと思いながら「白蓮れんれん」を読んでいます。

日曜日のNHKの大河ドラマの台本も、史実に忠実に従う反面、登場人物を思う存分あやつられるので、劇作家は書いていて面白いそうです。

大河ドラマの主人公は歴史上の大物。

その主人公を書こうと思ったら、主人公にも勝るとも劣らない人間としての力量、器がいることでしょう。 

大変な仕事、作業です。

白蓮と石炭王 伊藤伝右衛門は、1911年(明治44年)2月22日に結婚をしました。 

2人は再婚同士で、白蓮は26才、伝右衛門は51才でした。

そして、1921年(大正10年)10月2日に白蓮が失踪。

その年の11月27日に離婚成立。

結婚生活はわずか10年で終わりました。

林真理子の小説の中では、伝右衛門は精力旺盛な人間で何人もの女性と関係を持っていたように書かれ、白蓮がそれらの女性を排除したとのこと。

その結果、伝右衛門の精力は全て白蓮に向けられ、林真理子は2人のセックスを、こう書いています。

大男の伝右衛門は大層重たい。

華奢な自分の体の上に一本の丸太が置かれたようだとあき子は思う。

胸を締めつけられて窒息しそうになる。

そしてあき子の体の上をゆっくりと、やがて激しく往復する丸太。

それは枯れることなくみずみずしい重みを持っている。

中略

ほぼ毎日伝右衛門は妻を抱く。

それも一回だけでは済まない。

夜更けに一度、夜が白々と明ける頃に伝右衛門はもう一度、傍に寝ている妻を揺り動かすのだ。

ちなみに、あき子(白蓮)の身長は148cm。

伝右衛門は174cmだったそうです。

この後、あき子は伝右衛門に若い女(妾)を世話します。

人の一生を小説として書く、幾ら作り話だとは言え、セックスの話まで。 因果な商売です。

この後、あき子は、ますます嫌な女として書かれていきます。

これまで私は、伝奇小説をワクワクしながら、「へ〜」と興味津々で読んでいましたが、冷静に考えてみたら作家の作り話だったんだなと、今になってやっと気が付きました。

考えてみれば歴史小説もそうですが、作り話も如何にも真実らしく書けていたら、それは作家の力量なのでしょう。

あ〜世の中、幾つになっても勉強。 頑張るぞー。

パート2があります。

もし、時間があったら、読んで下さい