痴呆の始まり

切干大根の煮たのを食べながらOちゃんが言った。

「これ少し酸っぱいね」

「気のせいじゃない」と私は言った。

実は作っている時に失敗したのだ。

煮ている時に少し味りんを入れようと容器を取り注いだ。

左手の容器を見ると味りんではなく、酢だったのだ。

味りんを入れ直して、味見をしてみると食べて食べれなくはない。

もう仕方がないと食卓に並べた次第である。

ある時、今夜は酸っぱい物が食べたいと思い「ばら寿司」を作ることにした。

酢を調合するのが面倒なので「すしのこ(寿司用の甘酢を粉末にした物)」を入れて寿司飯を作ることにした。

「すしのこ」を入れても、なかなか酸っぱくならない。

面倒なので直接酢を入れることにして酢を入れた。

なかなか酸っぱくならない。

もう一度酢の容器を取り酢を入れた。

その時、左手を見てビックリ。

酢の容器だと思っていたのはサラダ油の容器。

さっきからサラダ油を入れていたのだ。

仕方がない。酢を入れ直し、具を入れ、薄焼き卵を入れて仕上げた。

不味いばら寿司が出来上がり。

仕方がないので自分で一人で食べることにした。仕方なく。

Oちゃんが自分も食べると言った。

酢が足らないねと言って、酢を入れて食べていた。

酢を入れたら美味しいよと、言いながら。

勿論、サラダ油入りのばら寿司何て一言も言わなかった。

それにしても最近はよく調味料を間違える。

これは痴呆の始まりかしらと思うと情けなくなってします。