お祝いのボトル

忙しそうに(せわしなく)店に入ってこられて「ごめんね。ごめんね」を連発される。

この人、誰だっけ?と私は思い、たまたま来店中のYちゃんに聞いた。

「誰だっけ?」

すると顔の広いYちゃん「Aのマスターだよ」との返事。

私は、そうだそうだ、開店の挨拶回りに行ったAのマスターだと納得。

Aのマスターの話だと、スナックかけふの開店祝いにボトルを持って行くように酒屋さんに頼んだらしい。

そして、酒屋さんに「祝いのボトル、持って行ってくれた?」と聞いたら「忘れた」と言ったらしい。

そして再度ボトルを持って行くように頼んだらしい。

そして後日「持って行ってくれた?」と聞いたら、また「忘れた」と言ったらしい。

酒屋が忘れたばっかりに不義理をしたかたちになり、すっかり恐縮をされていました。

私は「お返しを期待して挨拶回りをした訳ではないので気にしていませんよ。気にしないで下さい」と何度も言いました。

でも、このマスターは正直な方です。

「本当はね、私の所に挨拶に来られても困るの」と言われる。

本当は私も同じ意見。

今のご時世(不景気)に挨拶に来られ、お祝いを渡していたのでは割りに合わないものね。

色々お話をしたがすごくサッパリした良いマスターでした。

「貴方も大変ね」と私に言われる。

「私の場合、昼の仕事をしています」と言うと、「そうよね、でないと店はやっていけないものね」と言われる。

このマスターは新世界に家を買われ、その1階を店舗(スナック)にされている。

「お宅は持ち家だから良いですね」と言うと、やっとお金(ローン)は返し終わったと言われた。

高い家賃を払って店をやっていくのは大変。

家賃を払い続けるのだったら家を買ったほうが良いかもしれない。

何処かに良い物件はないかしら?でも、私は歳だから、もうローンは組めないもんね。

マスターは祝いのボトルを届けられなかったことを何度も何度も謝って帰られた。

「お釣りは入らない」と言われたけれど、祝いのボトルよりずっと高くついたはず。

マスター、気を使って頂きありがとうございました。