Aちゃん(70過ぎ)が、Bちゃんと出会ったのは12、3年前。
夜中、川沿いにある公園のベンチに、一人しょんぼり座っている男(50代後半)がいたそうです。
声をかけてみると、なんと方言が同じ。
同じ県、同じ地方の出身の男(B)だったとか。
話してみると、Bも組合員。
急速に親しくなり、BもAちゃんの団地に遊びに来るようになったそうです。
週末はもとより、盆正月の休みにはずーと、Aちゃんの部屋に泊まりに来ていたそうです。
家に泊まりに来ると、Aちゃんが料理を作り、Bにとっては上げ膳据え膳。
その中に、朝、起きても顔も洗わなくなり、歯も磨かなくなったとか。
起きている間、食事以外は四六時中、テレビを見ているだけ。
もともと彼は肥満体系。
これでは体に悪いと、今年の夏ごろに「家には泊まりに来るな」と、Bに言ったとか。
せめてB自身が自分でスーパーに買い物に行ったり、自炊をした方がまだ運動になるだろうとの気持ちから。
Bは掃除が苦手で、部屋は汚かったそうです。
その中にBは、仕事も辞めてしまったそうです。
「泊まりに行っても良いか?」と、何度か電話が来たそうですが、「だめだ」と、心を鬼にして断り続けていたとか。
それから間もなく電話も来なくなり、Bに電話を入れてもBは出なくなったそうです。
10月12日がBの誕生日なので、「おめでとう」のメールを送ったそうですが、返事もなし。
どうしのだろうと、Bのことはズーっと気になっていたそうです。
そして、そして、待望の電話が11月末に来たそうです。
携帯電話をオンにして、大きな声で、冗談で、「まだ生きとったんか?」と出たら ・ ・ ・
「済みません、私はBの従弟です」との返事。
「Bは風邪で11月22日に入院をして、23日に亡くなりました」と、Bの従弟。 Bは享年67才。
Bの携帯電話の電話帳の中には、Bの実家(兄の家)と、Bの従弟と、もう1軒の親戚の番号以外に、Aちゃんの電話番号が登録されていたので、Bの従弟が電話をして来たと、言うことだったとか。
「たぶん、他の友達や組合員の電話番号は消してしまったのだろう」と、Aちゃん。
「失礼ですが、Bとはどんな関係でしたか?」と、Bの従弟。
Aちゃんは男同士の関係でしたとも、言えないので、本当のこと(公園で出会って友達になった)を、話したそうです。
「病名は知らないけれど、Bは肺に穴が開いていた。だから風邪ぐらいで死んだのだろう。Bは酒が飲めない奴だった。死んだと聞いて、あー、あれもしてやれば良かった、これもしてやれば良かったなどと、色々のことが悔やまれて泣いてしまった」と、Aちゃん。
「Bは実の兄とは仲が悪く、家を飛び出してきたので、帰る所も、入る墓もないと言っていたが、お兄さんが田舎に骨を持って帰ったらしい。良かった」と、しょんぼりAちゃん。
たぶん、仕事を辞めたのも、病気で体がきつかったせいかも。
Aちゃんの部屋でゴロゴロしていたのも病気のせいだったかも。
後かも思えば、後悔ばかり。
「Bが死んだことは教えて欲しくなかった。 あの馬鹿がどこかで、のらりくらりと生きていると思い続けていたかった」と、Aちゃん。
Aちゃん、ごめんね。 日記に書いちゃった。