最初のお客さんはAさん(66才)。2度目の来店。
Aさんは29才で結婚をして2人の男の子が出来た36才頃は生駒に住んでいたそうです。
毎朝、ギュウギュウ詰めの近鉄電車で通勤をしていましたが、ある時、痴漢にあったとか。
痴漢にあっている中に痴漢されることを期待している自分があったそうです。
痴漢をしている人に誘われて喫茶店に行き、「今夜、会おう」と誘われて、その夜、R(淫宿)に連れて行かれたそうです。
Rでの男同志の乱交を見て仰天したそうですが、それからは毎晩行くようになったそうです。
Rで知り合った人にゲイスナックに連れて行かれて、そこのマスターにゲイの世界を教えてもらったそうです。
色々の人と付き合ったそうですが、今は22年間付き合っている69才の人がいるそうです。
今日はその人とHをした後、新世界に飲みに来たそうです。
現在は奈良に住んでいます。
最初に痴漢をしてRに連れて行ってくれた人(69才)とは家が近所で、時々バッタリ会い、話をするそうです。
「今でも奥さんとはセックスしているの?」と聞いたら、「46才の時、突然勃起しなくなった。男を知ってからのセックスは苦痛だった」そうです。
勃起不全になったことを機に奥さんとのセックスはなくり、男とのセックスだけになったそうです。
痴漢にあう前はゲイのケは全くなかったそうです。
「自分のことを他人にこんなに話したのは初めてだ」と言っておられました。
Bさん(66才)の来店。
暫らくしてCさん(64才)の来店。
BさんとCさんは知り合いだったので隣同士に座りました。
元気のないCさんはBさんと話していましたが、洗い物をしていた私に2人の会話が聞こえてきました。
「余命1年です」と言うCさんの声が。
“まさか”と思い、私はビックリしましたが、直接聞いたBさんはもっと驚いたことでしょう。
Cさんは胃癌で、医者から「余命1年」と言われたようです。
「余命1年」は来店中のお客さんの知るところとなりましたが、誰も2人の話には参加しませんでした。
もちろん、私も岡ちゃんも。
「1年なんて気にせず頑張って生きろ、ワハハ。俺より先に死んだらあかんぞ、ワハハ」とBさんはCさんを元気付けていました。
「本当に1年だったら、その1年で3年、4年分生きたら良いやん」と言うのが、私はやっとこさでした。
Cさんが帰る時、Bさんも一緒に帰って行かれました。
Bさんがおられて私は本当に助かりました。
もし、私達に「余命1年」と告白されたら、私は何と言って良いやら。
明るく笑い飛ばされていたBさんには感謝、感謝。
何時も陽気に騒いでおられるBさんの心の奥深さには感服しました。
58才のTKちゃんが脳挫傷で亡くなったことをBさんから聞きました。
20才前後の頃は博多で女装(和服で日本髪)。
兄弟に見付かり、家で軟禁されたけれど、深夜のトラックに乗せてもらい大阪に家出。
かけふの店にも来てくれていました。
私達が仕事を終えて家に帰る夜中の2時、3時頃、一心寺の辺りでハッテンしていたKちゃんによく会いました。
「今、帰り?」と言い、手を振ってくれていました。
歯抜けの笑顔が思い出されます。
TKちゃん、あの世でも頑張ってハッテンしてね。さよなら。