「かけふの履歴書」
最近、やっと餃子が上手に焼けるようになりました。
岡ちゃんは餃子、大好き人間でした。
3日にあけず餃子を買って来ていました。
「餃子の王将」に行くと、割引券とか、無料券をくれるのですが、岡ちゃんはそれを集めて、毎日のように餃子を食べていました。
ご飯のおかずや、ビールの当てに、です。
私は途中から、餃子を見るのが嫌になってしまいました。
岡ちゃんがいなくなってから、一人で食べるご飯のおかずを何にしようかと決めかねて、時々、スーパーで餃子を買って来ます。
昔は上手に焼けなかったのですが最近やっと、自分で納得の出来る焼き方が出来るようになりました。
もう、今からでは遅いのですが?
「魚は殿様に焼かせよ、餅は乞食に焼かせよ」という諺(ことわざ)がありますが、餃子の場合は殿様然として、あまりちょこちょこ手を出さず、ゆっくり焼き目を付けたり、蒸したりした方が良いようです。
今度、また岡ちゃんと一緒になったら、毎日のように焼いて上げようと思っています。
私がチャカチャカ、マウスを押しまくるので、岡ちゃんはいつもイライラしていました。
チャカチャカと早押しで、パソコンの調子が悪くなった時など、私は、何時も真っ青になります。
どうしよう、どうしようと、パニックに。
そういう時、岡ちゃんはパソコンのことを知らないになりに、一所懸命に直してくれていました。
夜、夜中まで起きて、直してくれました。
だから今、何かがあったら大変です。
もし、これから男と同棲をするのなら、パソコンに詳しい男と、同棲をしたいです。
スマホにも詳しい、男とか、です。
まー、無理でしょうが。
岡ちゃんと私と、どちらが先に死んだ方が良かったか?
今、つくづく思うけれど、やっぱり岡ちゃんが先で、良かったと思います。
岡ちゃんのお父さんは俳優、大滝秀治(故人)にそっくりだったそうです。
ちゃぶ台をひっくり返すような癇癪持ちで、頑固だったそうです。
それが、それが、後年、岡ちゃんが物凄く頑固になり、私の言うこと、提案することを、ことごとく反対、却下するようになりました。
だから、後半は、どちらかといえば会話も途切れがちでした。
もし、私が先に死んでいたら、私名義で契約した店や、マンションは、どうするつもりだったのでしょう?
もし、解約をしたら、岡ちゃんの居場所がなくなってしまいます。
良い意味でも、悪い意味でも機転がきかない、融通が利かない岡ちゃんだったら、安い市営住宅を申し込んだりはしないでしょう。
私はいい加減な男であると共に、白黒の決断が速いです。
「柳に雪折れなし」の私ですが、頑固で一本気な岡ちゃんは、いつかボキっと折れてしまうと思います。
店や、マンションの解約で、行き場のなくなった岡ちゃんは、どうしたでしょう?
だから、岡ちゃんを先に見送って、私は正解だったと思います。
残された私は、淋しいですが。
これから先、ゲイの私に、どんな未来が訪れるのでしょう。
しぶとく生きて行きたいと思っています。 楽しみです。
一応、「かけふの履歴書」は、今日を持って終わりとします。
正直に書き過ぎたかなと、ちょっと後悔をしています。
次のページに、「かけふ日記」があります。