木曜日

Aちゃん(40過ぎ)は道を歩いていて、“どこかで見たことのある顔だな”と、思う男がいたそうです。

お互いに顔を見合わせていて、はたと、気が付いたそうです。

“中学時代の同級生だ”と。

その彼がAちゃんに、誇らしげに言ったそうです。

「お前、英語しゃべれるか?」と。

彼とは部活(スポーツ)仲間。 早朝、大阪城を2周走ったりした仲。

彼は九九も十分に理解していないような子だったけれど、部活の合い間に一緒に受験勉強。

どうにか、公立の商業高校に滑り込んだとか。

Aちゃんも彼も、やんちゃのし放題。

高校をやめたがる彼に、「せめて高校は出とけよ」と、説得。

なんとか彼は、高校は出たそうです。

その後の彼は(彼の話では)、小さな商社に、どうにか入社。

トロント(カナダ 最大の都市)に海外出張。 4年間。

チンプンカンプンだった英語も、現地に仲の良い友達が出来て、英語を習得。

中学時代は、ろくに勉強が出来なかったやんちゃ坊主が、英語が話せることを自慢していたそうです。

彼は元々、その気になったら勉強の出来る子。

今は自信を得て、肩で風を切って歩いている様です。

たぶん彼は、勉強が出来たAちゃんに対して、引け目を感じていたのでしょうね。

Bちゃん(63)、何年かぶりに来店。

「よく店を覚えていたね」と、岡ちゃん。

Bちゃん、今日は職場の飲み会の帰りだそうです。

Bちゃん、60になったら仕事を辞めて、趣味の生活に入りたかったそうです。

趣味は水彩画。 絵画教室を開きたかったとか。

定年を迎えた時、奥さんに言ったそうです。 「仕事を辞める」と。

すると、「お金がないから、仕事を続けて下さい」と、奥さん。

Bちゃんが55才くらいの時、岡山から身内が出て来て、Bちゃんに言ったそうです。

「お前はギャンブル依存症と云う 立派な病気だ。医者に行け」と。

仕事は何とかしていたBちゃんですが、仕事以外は毎日パチンコ屋通い。

家庭放棄で借金もあり、2人の子供は奥さんが一人前にした様なもの。

“あ〜、そうか、俺は病気だったんだ”と気付いたBちゃんは医者に行ったそうです。

そして、断酒会の様なサークルに入り、ギャンブルにのめり込んだ経緯や、ギャンブルで生活が破たんした話や、ギャンブルから足が洗った話(体験談)を、参加者同士で話し合ったそうです。

「65までは、何とか働くつもりだ。それ以後は趣味に生きたい」と、Bちゃん。

Bちゃんは今、読売新聞にイラストを投稿しているそうです。

新聞に2回、月間の冊子「読売ライフ」に1回、採用されたとか。

新聞の謝礼は1回につき、図書券3,000円分で、「ライフ」は半額。

「それ以外に小説や、マンガも書いてみたい」と、Bちゃん。

「又吉の本「火花」を買って、読み終わったら貸して上げるね」と、Bちゃん。

離婚もしないで自分について来てくれた奥さんの話になった時、Bちゃんはおしぼりで涙を拭いていました。

自分(Bちゃん)が今夜、話したことが、明日の日記にどう書かれるか?

「明日の日記が楽しみだ」と言い、私にプレッシャーを掛けて、Bちゃんは帰って行きました。